体 験
気功教室
第1日
リラックス編
前書き
気功というものに対してみなさんはどういうイメージをもっていますか。
実は気功にはとても多くの流派、功法がありそれぞれ異なった内容があって、簡単には説明しにくいものなのです。これから始めるお話も、気功のほんの一部とおもって聞いてください。
私は上海で留学して中国医学全般を学んだわけですが、私自身がひどい座骨神経痛になやまされ、治療をかねて留学したので、おのずから医療気功に関心がありました。したがって、この内容も、医療気功中心になります。
これから、健康を維持するための、いろいろな功法を試してみましょう。
その中からできそうなものを毎日習慣のようにして続けて行ってください。
それから、同時に日常の生活や食事にも注意しましょう。
*病気に対する考え方
病気は文字どおり気が病んでいるということですが、邪気(悪い気)と正気(よい気)ということばを使って説明することもあります。体の中で、侵入してきた邪気(外邪)と、体を守っている正気とが戦っていると考えているわけです。
病気の予防・治癒のために、体に悪いものを口にしないようにしなければなりません。煙草など、有害成分が気功によって活性化された細胞にとりこまれては大変です。呼吸機能も活発になりますので、煙草、汚れた空気は厳禁なのです。
たとえば、大勢で気功を行う場合、病気の人の邪気が排出されたのを、隣の人が吸い込んでしまうということもありえます。かならず換気のいいところで行なう必要があります。
タバコを吸っている方は、早期にタバコを断ちましょう。
気功は身体を活性化させる作用がある、すなわち、毒を排出する作用があるということですが、毒を取り込んでしまう作用もあるわけです。とりこんでしまった毒を体外に排出するとき、停滞していた毒が溶けだして、血管の中を流れ、その際、一時的に疲労感や痛みを感じることもあります。
しかし、これは体外に出て行ってしまえば、すっきりしますので、よい反応と思ってください。
それから、内邪ということにもふれておきます。
中国医学では病気の原因を、”内邪”と、”外邪”とに分けています。
外邪とは風邪(かぜ)という字を見てもらえばわかるように、体外から侵入してくる邪気です。
風邪の他に、熱気、暑気、寒気、乾燥の気、湿気、などがあります。内邪は、感情や精神的不安定からくるもので、怒り、喜びすぎ、思い悩み、悲しみ、驚き、恐れなどです。気功は、こういった感情の悪影響をやわらげる効果もあります。逆に感情の高まりがある場合、悪影響が増幅される場合があります。感情を調整するには、気功が有効です。気功では、入静(にゅうせい)という言葉を使っていますが、脳を休める作用があり、自律神経が調整され、精神的にも安定します。
体験してみましょう
初めての時は、時間は短めにします。気功を行うときは、安定した気持ちを保つ必要があります。最初に姿勢を整えます。気功の基本のひとつは姿勢なのです。
*はじめに、立って行ってみましょう。
足は肩幅に開き、体重を両足に平均にのせます。体重計が二つあったら、片足ずつ乗せて、体重のかたより具合を見てみるとよいでしょう。
体の中心が、両脚の真ん中にくるようにします。
リラックスして、足首、膝、股関節をゆるめます。
足の裏がぴったりと床にくっついているように、体をゆるめて、体重を足の裏に下ろしてくる感じです。そのまま体をゆすってみます。
海の中を想像してください。
昆布になったような気持ちで、波に体をまかせます。力をぬいてゆらゆらします。
昆布の根は岩についていますが、同様に、足が岩にくっついていると想像して、上半身をゆらゆらさせてみましょう。
足の裏は、ぴったり床についたままにします。
背骨がちょうど昆布の茎です。まず前後にゆらぎます。
腰のほうから首に向かって、波が伝わるようにゆらしていきます。続いて左右にゆらぎます。
さらに左の後を見るように体をねじり、正面に向き直り、右後方にねじります。なるべく力は入れず、ゆったりと自然に動いてください。今度は両手も昆布の葉のようにゆらせます。
背骨は、首に7個、胸椎に12個、腰椎に5個の骨が、推間板というゴムのようなもので連結されてできています。そのまわりを、靱帯と筋肉がとりまいて、なんと体の半分近い太さになっているんです。
背骨の中には脊髄が通っていて、神経の束があります。まわりは液体で満たされています。レントゲン写真を思い浮かべながら、背骨の一節一節をゆるめていきます。節の間から神経が出ていて、内臓や筋肉に連絡しています。この節の間がかたくなったり、せまくなると、神経を圧迫して内臓の調子が悪くなったり、神経痛が起こったりします。
背骨が固くなることが、つまりは老化ということです。
固まったところをほぐす、という意味で、これは若返りの運動なのです。
次第に動きをゆっくりしてとまります。そのままぼおっと立っています。動いていた気が静まってくるのを待ちます。
最後に、収功(気功を終えること)します。
お腹の前から、両手の手のひらを上にして息を吸いながら顔の前にあげ、気を口から吸い込みます。手のひらを返して息を吐きながら両手を下腹部まで下げてきます。
これを三回くりかえします。呼吸と動作を連動させながら、自然呼吸でおこないます。
両手をお腹にあて、ゆっくりとまわします。21回繰り返した後、反対方向にもまわします。
次に、両手をよくこすって、あつくなったところで、顔を上下にこすります。
もう一度よくこすって、熱くなったら目にあてて、目から息を吸い込むようにします。
*次に、座って行いましょう。
まず、正座します。足の指と指は重ねずに、左右の足の指先が接するようにして、両足の上に平均に体重がのるようにします。膝はいくらかひらきます。こうすることで自然に背骨がのび安定します。
しびれない座り方をしても、意味はないのです。
背筋がのび、体のゆがみがでない座り方をします。
できるだけ背筋を伸ばしましょう。あごをひきます。
目は、斜め前をみつめて、意識はおへそに向けます。両手は重ねて、下腹の前に起きます。その際、両手の親指の先をつけます。腕はお盆のようにまるくします。
まるいお盆をかかえているような感じにします。舌の先を、軽く上の歯茎につけます。まぶたはカーテンが下がるような感じで半分閉じます。
呼吸を整えましょう。視線は斜め前方に固定します。
自然な呼吸で、息を吸うとき正面を見て、吐くときお腹を見るようにしてみてください。
途中で、呼吸を声に出さないで数えてみましょう。
20分くらい続けてみます。
最後に収功します。収功の方法はさきほどと同じです。
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