禅密功紹介

禅密功で背骨を調整する。

 禅密功は伝統仏教の性命双修に基づく功法と「中国禅密功」の冒頭で紹介している。劉漢文師が伝人であり、六部の功法からなっている。
 動静兼備の功法といわれ、軽く目を閉じて全身を放鬆(よぶんな力を抜き心身をリラックスさせること)し、なかば瞑想に近い状態で、「慧目を開き、密処をゆるめ、淡く意念をもちいながら体を動かすのが特徴。
禅密功でいう「慧目(眼)」とは眉の間の印堂穴に相当。しかし、密処は点ではく、下腹腔に通じる立体ととらえる。慧目、処、下腹腔など、この功法が中医学経穴名を用いないのは、禅密功の故郷がチベットであることに由来する。1980年から公開された。

 第1部 築基功では蛹動(ようどう)、擺動(はいどう)、にゅうどう、蠕動(ぜんどう)の四つの動きからなり、これらの動作を通して、尾骨、仙骨から脊柱全体を波動させ、それを全身に波及させるのだが、いずれにおいても、脊柱の動きを内視(観察)することが重要となる。
 脊柱は、延髄、脳幹から脳につながる人体の要であり、築基功では四つの動きと意念によって脳にほどよい刺激を与える。また、脊柱をほぐすことによって脊椎中枢から内臓まで好影響を与えるため、内臓全般の機能も活性化されるのである。
 練功するにあたっては難しく考えず、音楽にのって体をゆるやかに動かせばよい。楽しく練功することが持続につながる。内景(イメージしないイメージ)を観ることもあるが、それにとらわれず、こだわらずに練功する心構えがレベルアップの要因となる。


  禅密功


三七勢(基本の立ち方)
 軽く目を閉じ、足を肩幅に開き、つま先は自然に開いて立つ。頭頂と密処を結んだ線を両踵の真ん中に落とす。踵に七分、甲に三分となるように重心を置き、膝をゆるめる。アゴをやや引く。
 つぎに密処をゆるめる。おしっこをしているようでしていない状態。
 肩と脇をゆるめ、肘はやや外に張る。手指はわずかに開き、白然に下に垂らす。最後に全身を放松する。
 レントゲン写真で背骨を見ているように想像する。

蛹動 ようどう (脊柱を前後に揺らす動作)


 ゆっくりとリズムカルに下腹部を前に押し出し、後ろに引く動作を繰り返す。(この動きの基は尾骨と仙骨で、体操のような上半身を前に曲げ後ろにそらすのとは異なる)体全体がバランスのとれた状態がよい。
 背骨がむちのように腰から首へ波打つように動きが伝わる。
 手の動きは、体の動きに合わせて前後 に動かしてもよいが、角張った動きではなく、曲線を描くように。腰の動きが背骨から首、肩、腕、手、指に伝わり、ある瞬間指の動きが手、腕、肩、首、背骨、腰に伝わする。指が動けば連動して全身が動く。
 首にこりがあるようならば、頭をぶらぶらさせてもよい。
 基本の姿勢で少し休んで次にすすむ。

擺動 はいどう (左右に押し開く動作)
 膝をゆるめ、踵や足裏が浮かないように注意しながら、体(腰部)を左右に動かす。
 動作は滑らかに続け、波のような連綿一体の動きとなるようにする。このとき、動きのもとは、あくまで尾骨と仙骨であり、胸部や肩が動いても、腰部が動かないのでは意味がない。
 腰痛などがある場合には、正中線を保ちながら、体重心を左右にゆっくり移動させる。 背骨の一節ずつゆるやかに上下させていく。手は左右に動かすが、お腹の前でも、意念の上下に合わせて位置を替えてもよい。
 首がこっている場合は頭をあかちゃんが首のすわっていないときのようにぶらぶらさせてもよい。しかし目がまわらない程度にすること。
 基本の姿勢で少し休んで次にすすむ。

にゅう動(左右にひねる動作)


 擺動と同様に、踵や足裏が浮かないよう注意しながら、腰を回転させ、その回転の動きが背骨を上昇して首に、さらには手の先までつたわる。 
 下半身を上手に利用、下半身の動きに上半身を便乗させれぱ、「上虚下実」を保つことができる。手は掌を下にして動かす。


動きを少しずつ小さくしていき、ゆっくりと静止。
基本の姿勢で充分休んでから収功
○取り入れた陽の気を漏らさないように、密処を締める(回陽不漏)。難しければ肛門。 収功の動作は両手を体側から上げて頭上で掌を合わせ、降ろしていく。
自然に肘と掌を左右に開き、胸前から掌を体に向けて下腹まで降ろし、合掌。
 静かに眼を開き顔と頭部、両腎の上をマッサージして終了。

 この時点で体がだるいようなら、上向きに寝て深い呼吸療法を行なう。
 

収功
揺動の動きを少しずつ小さくしていき、ゆっくりと静止。
つぎのように意念により収功する。
○背骨全体を照らし看る。照見は経験により変化に富む。熟達すれば脊髄に気が通る(脊柱内視、洗髄観想。)
○下腹腔の中心を看る。このとき、下腹腔に温感や熱感があればしばらく意守、なければ「下腹腔に何かあるかな」という程度の意念を働かせる。
○体の末端あるいは外界から中心に気を戻す(摂本帰周)。意念はできるだけ淡く、力まず体全体が中心にかってわずかに収縮するように。
○取り入れた陽の気を漏らさないように、密処を締める(回陽不漏)。難しければ肛門。高齢者や病のある場合は、邪気が流れ出る体感がある。このときは流れるままにする。
 収功の動作は両手を体側から上げて頭上で掌を合わせ、降ろしていく。自然に肘と掌を左右に開き、胸前から掌を体に向けて下腹まで降ろし、印を結ぶ手印は、女性の場合は右人指し指が上で(イラスト参照)、男性は逆。動作は、終始穏やかに滞りなく行なうが、気分がよければそのまま站椿を続けてもよい。静かに眼を開き顔と頭部、両腎の上をマッサージして終了。
  


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