気感についての考察

                                                                                           photo:天然ヒマラヤ白水晶
気感訓練を行っていく中で、ポイントとなるものをあげるとすれば、まず皮膚感覚と条件づけである。
その前に気とは何かという定義をしておかなければならない。気という漢字が誕生したのは中国の漢の時代、2世紀頃には漢字とその意味は明確になっていたものと考えられる。「気」という漢字は風をあらわす「三」に似た字が元になっているといわれている。

気というものは確かに風、つまり空気の流れに似ている。
目で見ることはできないが、木の葉などを揺らしている現象から風の存在がわかるし、皮膚感覚で感じることができる。
中国医学では気血津液学説といい、中医の基礎理論の重要な要素となっている。中医基礎理論によれば
気とは 不断に運動を続ける大変強力な活力を有した精微な物質である。
また、世界を構成する最も基本的物質であり、宇宙に起こる現象はすべて気の運動と変化によってもたらされると考えられていた。
さらには、気は人体を構成する最も基本の物質であり、生命活動を維持する物質である。となり、
気が集まれば命が生まれ、気が散っていけば死であるといわれたように、生命エネルギーそのものなのであった。
人体の気は生まれるときに父母からうけついた先天の気と飲食物や呼吸から吸収される先天の気に分類されている。また、五臓六腑の五臓というのは気を蓄える臓器のことであり、肺には宗気、腎気、などが蓄えられている。

では人体の気にはどういう作用があるかというと、1、成長発育を促進させ、臓器の活動を保障するエネルギー的作用。2、体温を維持し保つ作用。3、人体を外部の影響から防御する作用。4、体内の液体や組織を体内に保つ作用。などと考えられている。
気は体内で不断に運動している。その運動形態は、昇降出入の4つを基本としている。気の昇降出入が停止することは死を意味するのである。
経絡は気の通り道つぼは気の出入り口である。

次に、人体の気にはどういうものがあるかというと、元気または真気といわれる生命の原動力となる気。宗気といわれる肺で取り入れられる呼吸による気と飲食物から取り込まれた気の混合された気。営気は、血管中にある栄養の気。もうひとつ、衛気といわれる、血管の外で皮膚を防衛している気である。

このように、古代中国では気というものは、唯物論的な存在であり、微細なエネルギーを持った物質であると定義されていたのである。したがって気というものがあるとかないとかいう議論はまったく意味がない。

中国の気功に関する古典の中では「八触」と言われる気の反応があげられている。
確かに練功していると、体内に反応が感じるようになってくる。
 
 八触とは 意識しないのに身体が動き始めること。
     例 気持ちがよい状態。
          自分でも動きをコントロールできる。
     例 バランスがくずれ気分がよくない。自分ではコントロールできない。
痒み。 身体が軽くなる。 身体が重くなる。硬くなる。 涼しい感覚。さわやか。 暖かい。皮膚がつっぱる。皮膚が滑らかな感覚。であるが、気の動きと関連している。
"気機(気の動き、昇降出入)"というのは、気が上下運動と出入りをするものだということで、気が動くと八触のような感覚が起こる。
気功を始めると、やたらに体が熱くなることがある。手足を見てみると、静脈が浮いて、血行がよくなっているのがわかる。手のひらは赤白まだらになる。
以前テレビで気功で体重を自由に変えるというパフォーマンスを放送していたのを見た。「うっちゃんなんちゃん」の番組だった。
たしかに、気をあげると体が軽く感じ、気を下げると体が重く感じるので、体重計で量ってみたがそれだけでは変化はみられなかった。

中枢神経系から出て,体のあらゆる部分に達している神経を末しょう神経と呼ぶ。末しょう神経は脳または脊髄から出る脳脊髄神経といわれるものと,意思とは無関係にはたらく自律神経とからなる。脳脊髄神経は体性神経ともいい,求心性の感覚神経と遠心性の運動神経に分けられる。自律神経には,交感神経と副交感神経がある。 
気をあげると、交感神経が刺激され、気を下げると副交感神経が刺激される。このため、気をあげると、元気になったような感じになり、気を下げると眠いような感じになる。

気感は皮膚感覚がポイントであると前に述べたが、皮膚感覚について考えてみよう。
風を感じるとき、温度、圧迫感、何かが触れている感じ、などを感じる。これは皮膚の表面にある,触点・温点・冷点・痛点などの感覚点が刺激を受けておこる感覚である。
皮膚感覚は知覚神経の作用である。

手で感じる皮膚感覚

労宮穴は手のひらの中ほどにある、つぼである。厥陰心包経という経絡の上にある。このつぼを開くことによって、気の出し入れを実感できるようになると、上海で習った。
当会で気感訓練を1日2日やれば、多くの人が労宮穴での気の感覚がわかるようになる。
手をこすってから、手のひらを向かい合わせて気を感じてみようという方法が本などで紹介されているが、その前に、気血の流れを活発にする運動と、手のひらで気を感じるための理論を知ることが早道なのである。つまり、労宮穴から気が出やすいという経絡理論にもとずいて、練習するといいのである。

手で感じることができる気の感覚は、1、電気的な感覚。2、磁石的な引き合ったり反発しあう感覚。3、温感と冷感。4、しびれるような感覚。などがある。
擬音語で表現すると、ぴりぴりとか、じわっとか、じんじんなどである。

しびれるような感覚
ひじの骨の間に神経が通っているが、この部分に強い刺激を与えるとしびれる感覚が走る。あるいは、一定の姿勢をしていると手や足がしびれる感覚がある。

この感覚を条件ずけして、気を受けるとしびれを感じるようにすると、手全体がしびれような感じをえられるようになる。

磁石的な引きあったり反発しあったりする感覚は、両手をお腹の前で上下に向かい合わせて、呼吸に合わせて近づけたり離したりをくりかえしていると、ただ呼吸を意識するだけで、自然に手が近づいたり、離れたりするように感じる。

温感と冷感 風がふいているような感覚
手をひざや、お腹などにおいて、気をあてるようにすると、とても暖かく感じる。そのまま手を離しておこなっても感じる。

電気的な感覚
電気石と呼ばれているトルマリンの結晶は微弱な電気を帯びているので、たしかに、労宮穴付近で電気的な刺激を感じる。

水晶の感覚でたしかめる
水晶は電気的に感じやすい、結晶体構造をもっている。とても強く感じる水晶は、その人との相性がいいのではないかと考えられる。

労宮穴に接してから、1,2ミリ離して動かしたり近づけたりする。強く意識しないで、無意識の状態になったとき感じやすい。

いくつかの水晶を用意して、水晶を持たないときとそれぞれの水晶を持って行い、違いを感じてみる。このようにして、練習をしていると、ほとんどの人が何らかの感覚を感じることができるようになる。

バジュラの感覚

バジュラは気を集める性質があるようだ。バジュラの先端を労宮穴にあてるとずきんずきんという感覚がある。

気血と意識
気は血液とともに流れ、意識の行くところへ行く。気があがって下がらないという人がいるが、気があがったと意識をしている間は気は下がりにくい。
呼吸は吸うと上がる傾向、吐くと下がる傾向にあるので、息を吐きながら意識を下に向け、リラックスをして血液を下に行くように工夫すれば下がる。


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