馬秀棠 点穴療法


 鍼灸学説を基礎に1956年から臨床を通して完成させた方法である。
(一)基本手法                              

1、平揉法  
中指を伸ばし、親指の腹を中指の腹に接し、人差し指と薬指の腹を中指の爪の上におしつけ中指を強化する形で、穴位に中指の先端をあて円を描くように圧し、揉む。一般に50回から100回回し揉みする。
 平揉法による補瀉

 手の三陽経 手から頭部へ走行
  左側の穴位の場合、右から左へ向かってもむ。下から上へ移動しながら揉むのは補。上から下へ移動しながら揉むのは瀉。
  右側の穴位の場合、左から右へ向かってもむ。下から上へ移動しながら揉むのは補。上から下へ移動しながら揉むのは瀉。

 手の三陰経 胸から手へ走行
 左側の穴位の場合、左から右へ向かってもむ。下から上へ移動しながら揉むのは瀉。上から下へ移動しながら揉むのは補。
  右側の穴位の場合、右から左へ向かってもむ。下から上へ移動しながら揉むのは瀉。上から下へ移動しながら揉むのは補。

 足の三陽経 頭から足へ走行
 左側の穴位の場合、左から右へ向かってもむ。下から上へ移動しながら揉むのは瀉。上から下へ移動しながら揉むのは補。
  右側の穴位の場合、右から左へ向かってもむ。下から上へ移動しながら揉むのは瀉。上から下へ移動しながら揉むのは補。

 足の三陰経 足から胸へ走行
  左側の穴位の場合、右から左へ向かってもむ。下から上へ移動しながら揉むのは補。上から下へ移動しながら揉むのは瀉。
  右側の穴位の場合、左から右へ向かってもむ。下から上へ移動しながら揉むのは補。上から下へ移動しながら揉むのは瀉。
 
督脈 尾骨から頭部へ走行
 右から左へ向かってもむ。下から上へ移動しながら揉むのは補。上から下へ移動しながら揉むのは瀉。

任脈 下腹から顔面へ上昇走行
 左から右へ向かってもむ。下から上へ移動しながら揉むのは補。上から下へ移動しながら揉むのは瀉。
 以上は男性の例、女性は左右が逆になる。

2、圧放法
 平揉法の後、中指を原穴(各経絡上の穴位のうち、先の方から3っ目、または4っ目が原穴)にあて、垂直に圧っし、ゆるめる。50回から100回を目安に増減。圧放法の補瀉は、走行に対して、順方向に圧しながら微動させれば補、逆方向に微動させれば、瀉になる。移動がなければ、補瀉同時作用になる。

3、皮膚点打法
 中指の先端を皮膚から2寸離してかまえる。穴位の中心に向かって正確に点打する。100回を目安に強弱は病状による。一般に速度は早い。

4、経絡循按法
 経絡に沿って穴位を、揉む、圧迫、点圧しながら、往復する。補瀉は、経絡の走行に従って2回、逆に1回の2:1の割りが補。経絡の走行に逆らって移動を2、沿って移動1の割りが瀉になる。1:1の割りなら補瀉同時作用になる。

(1)経絡循推補法、経絡循推補法
 例、補法、手の陽明大腸経の場合、親指で、合谷から、曲池に向かって押しながら移動、9×9、81回という具合に陽数を用いる。
 瀉法、親指で、曲池から合谷に向かって押しながら移動、6×6、36回という具合に陰数を用いる。

(2)経絡循推補瀉
 先に瀉、後で補が原則である。
 例、足の太陽膀胱経、片手で、腰部の穴位、あるいは疼痛の阿是穴のある筋肉をつまんで、別の手で臍の下から承扶穴に向かって押しながら移動、移動とつまみあげる動作を一緒に行う。18回、これが瀉になる。
 つまんでいた手は垂直圧迫に変更、承扶穴から下腹に向かって押しながら移動、移動と圧迫の動作を一緒に行う。27回、これが補になる。

5、五行連用法
 五っの兪穴、すなわちい井穴、栄(くさかんむり)穴、兪穴、経穴、合穴を使って行う方法。
(1)順序
手陰経、陽経の場合は上から下へ、点打、摩推、圧放、振顫、左右平揉の順に行う。任脈と督脈と足の陰経、陽経の場合は下から上へ、圧放、振顫、点打、摩推、左右平揉の順に行う。
(2)手法
 点打:皮膚に対する刺激。点打は五行の肺、金に配当される。そのため、一方の手で点打しながら、別の手の中指はその経絡の金穴を点圧する。

 摩推:血脈に対する刺激。心、火に配当される。そのため、一方の手の手のひらあるいは親指の側面で摩擦、押圧しながら、別の手の中指は、その経絡の火穴を点圧したままにする。

 骨圧放:骨に対する刺激。腎、水に配当される。一方の手の中指で穴位を垂直に骨まで浸透させ、筋肉もでゆっくりゆるめる。ゆっくり重く行う。一般に5回から7回で充分である。同時に別の手の中指で、水穴を点圧し、効果を高める。

 振顫:筋に対する刺激。肝、木に配当される。まず一方の手の中指を穴位にあて、7回から9回揺らす。1、2回揺らしたら止め、また揺らすというように行う。続いて、70回から90回連続して振動させる。弦のような弾力性をもって行う。同時に別の手の中指でその経絡の木穴を点圧しておく。

左右平揉:筋肉にたいする刺激。脾、土に配当される。一方の手の中指で、左右回転100回ずつ。軽揉は筋肉と血脈、重揉は筋肉と筋骨に達する。

 陰経の井穴は木、木生火で火は栄穴になる。火生土で土は兪穴。土生金で金は経穴。金生水で水は合穴になる。
 陽経の井穴は金。以下、水は栄穴、木は兪穴、火は経穴、土は合穴になる。
 注意、井穴、栄(くさかんむり)穴、兪穴、経穴、合穴は鍼灸の経絡、穴位に解説あり。

(二)補助手法 以下の13種、推拿、按摩手法と似ている。
1、頭部推運法 2、背部循圧法 3、振顫法 4、四肢揺運法 5、圧穴法
6、切穴法 7振法 8、切揺法 9、捏穴法 10、推頚項法
11、圧頚動脈弾人迎法  12、撫背法 13、圧脊法

治療方法  50近くある中から例をあげておきます。
耳鳴り 合谷(瀉)、翳風(瀉)、聴会(瀉)、耳門穴(瀉)上焦の熱をとる。風池(瀉)、胆兪(瀉)、腎兪(補)、足三里(補)上熱下降。
    心虚は通里を補する。胆実は腕骨を瀉する。各穴位に対して平揉 圧放100回ずつ。

肩関節周囲炎
    肩から腕にかけての痛みには、合谷、列缺、曲池、肩寓、肩井、臑兪、雲門、肩中兪、肩外兪、などの穴位。
    肩の痛みには、肩部の穴位を増やす。急性には瀉法、慢性には補法。
    冷えがある場合は、陽経を補し、陰経を瀉する。各穴位平揉、圧放100回ずつ。虚弱には点打法を加える。
続いて(1)一方の手の親指で肩こう骨の周囲を按圧しながら、別の手の親指で肩井、大椎、巨骨などを按圧しながら移動往復3、4回。
   (2)肩関節周囲を両手親指で移動しながら按圧、数回。
   (3)手首を持ち、別の手の親指で、手の陽明経、4指で手の太陰経を摩擦 往復、数回。さらに4指で手の太陰経、親指で、手の陽明経と少ない陽経の間を摩擦しながら上行、数回。
   (4)動きが悪い場合は、肩の関節の前後とひとさし指の側面に圧痛点がある。肩寓、臑兪、雲門、など圧痛点に対し五行連用法を用いる。

  

  



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