「気功特殊診病法」中国医薬科技出版社 1989年  王寅 王絶麗 編著
                   
一章 気功診病の基本知識
第一節 気功診病概況
一、古代簡況
  このところ気功熱は盛んで、気功による病気の予防、治療、診断の事実が理解さ  れ受入れられつつある。ただし、大多数の人は懐疑的で半信半疑である。
  中国医学の貴重な宝である気功診病法を公開して、診病技術の発展に供するのは、  人々の健康にとって必要なことである。
  列子、史記をはじめ、気功診病の事例は古代から多く見られる。
第二節 気功診病の含義と特点
 患者の身体の部位あるいは穴位に対して意念を集中、発功して診断する。
 または、信息を補足して、その変化状況を判断して診断する方法。
第三節 気と気功診病        
一、気は                       
  人体の気、父母から受けた先天の精気。
  飲食物の栄養物質、精微の気。
  大自然中に存在する清気
  の3種からなる。
  人体の気は脈内を運行する営気と脈外を運行する衛気とに分類できる。
  気の動きは昇る、降りる、入る、出るの4種類で、このバランスがくずれると病  気の原因になる。
二、気と血の関係
  気の流れと血の流れはお互いに依存しあっている。
三、気功の気
  気功の気には内気と外気がある。一般にはまず「丹田の気」を練り、小周天など  の訓練、運気の訓練をして、「内気」を外気として外部放出する。
四、気は生命情報の伝達者である。
  人体には、絶え間ない気の出入りがあり、その気には人体全部の情報が含まれて  いる。
五、気は空間を移動し、つたわる。
六、練功の過程で、宇宙からの各種の微粒子流が自分に降り注いでいるのがわかる。  四方八方から、人体に入ってくる微粒子流は虹のような色があり、人体各部で受  けとっている。経絡に沿って流れ、丹田に入って行く。丹田で玉白色の小球体が  形成される。
  診病時に自身の頭部から微粒子流が放射されているのが見える。
第四節 気功外気とは何か
 気功診病と外気とは切りはなせない。練功以後、充足した内気を意識的に動かし、 部位や穴位に集中させ、一定の強度と密度をもって体外に発放したものが外気であ る。内気の充足が高ければ外気も多くなる。
第五節 経絡敏感と気功診病
 外気に対する感覚は
 冷、熱、痺れ、膨脹感、腫れる、かゆみ、痛み、跳ねて動く、針で刺す、圧迫、風、 匂い、軽くなる、浮き上がる、汗が出る、揺れ動く、腸が鳴る、呼吸が苦しい、軽 快感、内臓が引っ張られる、手足が動く、光が見える、眠くなるなど。
 感じる強さは人によって差があり、以下のように分類できる。
1、最敏感型の人
 離れていても、隔てる物があっても、短時間に外気に反応する。
2、敏感型の人
 近くでしばらく外気にあたると反応が出る。
3、不敏感型の人
 近くで外気を受けても外気に対する感覚が出ない。
4、延緩型の人
 繰り返し外気を受けたり、練功することによって、感覚が出てくる。

 大部分が敏感型と延緩型である。
 年齢が高い者より若い者、男性より女性、アレルギー体質、過敏症、自立神経失調 などの者に敏感型が多い。
 敏感型の者は多く練功をしなくても、診病できることもある。

第六節 信息(情報)と気功診病
一、信息とは何か
 信は信号、息は消息である。(情報とほぼ同じ意味。)
 信息は物質の運動のある特定の形式の客観的反映である。
 気功の気はエネルギーと物質と信息の複合したものである。
二、信息論は、ますます研究されている。
三、生命信息
 生命を維持するに必要な調節とコントロールを信息を通して行っている。
 診病時には患者と医師両者の信息が相互に働き、同時に治療作用も行われる。
四、信息と信息場
 人体場はエネルギーと物質と信息の総合体である。人体の生理、病理信息の他に心 理信息も入っている。
第七節 場と気功診病
 磁石と磁場の関係に見られるように、物体や生命体の周囲には場が存在する。自然 界あるいは生物体における場と実物は2重構造をなして存在するということになる。 場と実物はみな波動の特性を持っている。

第二章 気功診病種類と病例 
第二節 気功透視診病法
一、気功透視診病法の方法
 透視法とは、明眼功によって、正常な人体と比較し異常を見る方法である。
1、天目穴打開による透視法。
 眼を閉じて天目穴のスクリーンに対象を写し出し、輝き、透明感のある器官にレン トゲン写真のように、陰影、あるいは暗点を見出だす。更に、素早く、はっきりと 写し出すように訓練し、最終的には大脳中で直接見るようになる。
2、人体の体表を見るのではなく、文字どおり透視して、器官を目視する方法。
 初歩的段階では、体内の気団の状態、分布を見て判断する。
 更に、細部の内臓、経絡、などの色を見ることができるようになる。暗く、黒っぽ いのは病変のある場所である。
 練習方法は自己の体内を透視することから始め。
3、大脳などから、ある種の光を出し、戻ってくる光を感知して透視する方法。
 まず、発光できる部位を探し、発行した光を対象に放射する訓練を行う。
 意念で体内での発光(内光)を、内、外と導いて行く。高度の入静状態で、ある穴 位ないし場所が打開し、内光を放射できる。
 光が対象に届き、戻ってきて大脳で像を結ぶが、光の量が不足でははっきり判断で きない。
 
 透視は一般に天目穴を利用する。その次に多いのは目そのものを利用するものである。
 天目穴は眉の間の印堂穴から1〜1、5寸上で、天眼、千里眼とも言う。大脳深部にある松果体があり、その中に退化してはいるが、視網膜と感光細胞がある。気功鍛練によって松果体を強化、患者の内臓、器官を図象化して見ることができるようになる。また松果体の前には生物磁場があり、テレビの画面のように、結像できるようになる。
 また眼からは各種の波が出ていることが知られている。その強さは酵母菌を殺す程の力が確認されている。  
第五節 気功外気深病法
方法
 片手、あるいは両手で発功して、探る方法。手の形で三種に分けられる。
1、手掌式:五本の指を自然に伸ばし軽く曲げた状態で労宮穴から運気して行う。
2、食指独立式:人指し指を自然に伸ばしてかすかに曲げ、残りの四指を自然に握っ て人差し指から運気して行う。
3、剣訣式:人指し指と中指を接触せずに自然に伸ばし、残りの指を自然に握って人 差し指と中指から運気して行う。
 体表から10〜20センチはなして構え、ゆっくり上から下に移動しながら部位ご とに探る。発気し、その時の手あるいは指の感覚の違いで感じとる。
 一般に熱感は火、実で、涼感は寒、虚である。正常な部位は熱感と涼感が大体均衡 している。
 手あるいは指の異常感覚はその部位の病を現すが、経験によってその感覚と状態の 関係を把握できるようになる。
 例えば、胃部で涼気がある場合は胃寒。膝関節の部位で涼感と湿気はリューマチ。 内臓に腫瘤の場合は、痺れや電流が走る感じなどである。
 静かな環境で行う。
 病人自身に気に対する感応も起こる場合がある。
 臓腑の病変が経絡を通して、体表の穴位から伝わるという法則があることが分かっ ている。
二、気功外気深病実例
 高血圧の場合、頭の部分に熱感を感じる。熱さの度合いで血圧の高さを判別できる。第十四節 気功感応診病法   
一、気功感応診病方法
 患者と接触して、疾病の情報が施術者に伝わって、相応する部位に、冷、熱、痺れ、膨脹感、痛みなどが現れることによって診断する方法である。
1、診断時、1〜2メートル、の距離で、感覚がない場合は、意念でどんな病気かを 問いかけて探る。この感覚は速度が早く、患者が部屋に入って来た時点で起こるこ とも希ではない。患者に頭痛があれば、施術者の頭部に疼痛を感じる。患者の右足 に冷えがあれば、施術者の右足に冷えを感じる。
 施術を終えたら病気の気を体外に排出するように注意する。そうしないと病気の情 報が体内に蓄積され、施術者の体に損害を与える。
 例えば、自身の相応する部位に疼痛を感じた時、意念で疼痛感を導いて排出する。2、患者は目を閉じて正座 施術者は脇に立ち、左の手のひらを開き、手のひらを下 に向けて労宮穴から患者の百会に向けて、外気を発放する。
 2〜3分後、左手はそのままで、右手の中指の先を患者の天目穴、あるいは眉間の 間の印堂穴へ向けて、両手を同時に発功。両手から出ている気がどこの部位で交差 するかを見極める。
 施術者は目を閉じて内視、どこで気が交差しているかを見て病巣のある部位を判断 する。効夫の浅い施術者は、自身の異常感覚を感じる部位で判断する。
3、施術者は高度に入静し、患者の体を思い描き、吸気で患者の視線が施術者の目の 中に入ってくるように想像する。深呼吸しながら施術者自身の体内の微妙な変化を 見る。患者の全身が施術者の全身と一緒になったようにして、熱、痺れ、腫れ、痛 みなどを察知する。
二、実例
1、乳房組織肥大で外気治療を受けていた32才の女性 李叔珍さんは毎日1回、10分程度の治療を10数回受けた頃、患者が部屋に入ってくるとすぐ、その患者の病気のある部位が疼痛、しびれ、冷えなどとして感じるようになった。
 また11才の少年に外気治療中、隣に座っていた李叔珍さんは少年の体を流れる施術者の外気の流れと同じ気流を実感した。

第三章 気功診病訓練と功法

第一節 気功診病の能力の来源
 気功診病能力は先天的に持っている者もある。
 どんな練功方法をとっても診病能力は高まってくる。
 気功療法を受けていると診病能力に目覚めることもある。

第二節 入静訓練法
 診病時にはその他の刺激にまどわされことなく、注意力を集中させなけらばならない。入静状態に即座にはいれるように訓練することが必要である。

一、概説
 入静とは外からの情報と干渉に影響されない一種の覚醒状態で、高度な安静、弛緩、を伴った快適な状態である。この時、人体各部の筋肉は緊張がなく、呼吸は穏やかで軽く緩慢になる。大脳皮質がコントロールされた状態で、自我を抑制できる。
 自立神経が調節され、大脳と臓器の働きを回復、調整される。また外からの有害な刺激から保護される。
 入静は「無思無慮」「見ていても見えない、聞いていても聞こえない。」といったことばでも表現されるが、居眠りや睡眠状態ではない。
 入静は睡眠状態、覚醒状態に対して、第三の状態であると言える。睡眠時には覚醒時と比較して酸素所要量が10%低下するが、入静時にはさらに低下し、16%、練功がすすむと34%まで低下するという記録がある。このことから入静は高度なエネルギーの低消耗状態で、効率的な生理活動状態であることがわかる。
 入静は大脳の働きを効率化し、細胞の活動量を高め、人体の生命活力を強化することができる。気功診病には大脳細胞の高い効率化が必要なため、入静訓練によって診病能力は自ずから高まる。
 入静の訓練をしていくと徐々に入静の段階が深まる。始めはいつもは気にならなかったようなことが雑念としてわいてくる。周囲のざわめきなどにも攪乱される。練功を重ねていくとしだいに雑念は少なくなり、周囲の影響もなくなる。更に進むと、ひょうひょうと空に浮かんでいるような気持ちのよい状態になる。
 気功診病では細かい変化を感知し、正確に判断するために高度の入静状態の経験が必要である。

二、入静訓練法
(一)放鬆
 放鬆は入静の第一歩の要点である。
 大小便をすませ、身をしめつけるもの外す。
 精神的負担、緊張のない状態で気持ちを楽ににし雑念を排する。
 姿勢は自然にリラックスできるものならどれでも良い。
 呼吸は自然にゆっくりと柔らかく。
 意念を集中させる。
 初めはなるべくしずかに落ち着けるところで行う。
(二)入静の方法
 放鬆して姿勢と呼吸を調整する。
 軽く目を閉じて、横一線の光をとどめておく。耳は意念を用いて、外部の音を聞か ないようにする。舌の先は上顎へつける。
 一つの部位や、物に意識を集中する。一般には、丹田を意守する。
(三)黙念法などによって入静の段階を深める。
   呼気で鬆(ソーン)、吸気で静(チーン)など。 

三、入静を助ける方法
 自分に合った方法を選択して行う。
1、仮借誘導入静
 自分の気にいっているものなどの様子を思い浮かべ、あたかも実際に接しているように想像する。
 例:シャワーを浴びているように想像、頭から足元へお湯が流れている状態を思い浮かべる。高血圧の場合効果的。
2、月を利用した入静法
 月が登ってくるとき外に出て、両足を肩幅に開いて立ち、両膝を軽く曲げる。腰はまげすぎないようにして、右手の手のひらを左のての甲に重ね、下腹の丹田の位置におく。全身の力をぬいて自然にする。
 2、3回濁気を吐き尽くす。
 自然に鼻から吸い鼻から吐きながら、視線を月に合わせる。次第に見ているような見ていないような感覚になる。しばらくして、軽く両目を閉じ、月の形、様子を思う。残像が薄くなったらまた月を見る。
 一回に10分程度10日間行い月を記憶する。
 ひたいのところに月があるように思う。
 以後は室内で練功、ひたいのところから光が出ているように想像して、気功診病に使う。
3、返照入静法          
4、五歩の行程で雑念を除き入静する。
 雑念がたくさんでている場合に用いる。
第一歩
 雑念を邪念と正念とに分け、邪念を排し、正念を残す。
第二歩
 正念を現在と過去に分け、過去のことを排して現在を残す。
 急を要することとそうでないことと分け、急を要しないことを排除し、急を要する ことを残す。
第三歩
 急を要することを自分のこととそうでないこととにわけ、そうでないことを排除し、 自分のことは残す。
第四歩
 気功診病にかんすることとそうでないこととにわけ、そうでないことを排除し、気 功診病にかんすることは残す。
 このように段階的に雑念を純化していく。
5、意守丹田入静法
 一般に下丹田を意守すると入静しやすい。
6、雑念を利用しながら入静する。
 次々と雑念がわいてくる場合、強く雑念を押さえこもうとするとかえって緊張したり、頭痛やめまいが起こることがある。
 雑念に任せておいて、自然消滅するのを待つ。その雑念がぼんやりとしてきた時点で排除する。
7、鼻先足先を見る方法
 目を軽く閉じ、見ているような見ていないような調子で、鼻の先端あるいは足の先の輪郭を内視する。鼻の先に白いものを見ることが多い。じっと見るのではなくぼんやりと見る感じがよい。 気血が下がる。寝て行う場合は足が良い。
8、黙念法
 「私は入静します。」などの言葉や1、2、3、4、5、と数字などを繰り返して声に出さずに言う。
9、暗示法
 放鬆、安静などの言葉を心に繰り返して念ずる。
10、幻想法
 自然の物、花や草木などを思い浮かべる。
 思い浮かべる位置は腰から下の低い位置がよい。あまり強くはおもわず、あるかないかくらいがいい。
11、幻聴法
 腰くらいの高さの位置に音楽などが流れてきているように想像する。
12、快適な音
 好きな音を聞きながら入静する。
13、気に入った物を用意してそれを見ながら、意識を集中させる。
14、呼吸を数える、呼吸の音を聞く、意息。
呼吸を数える、
 一回吐くごとに一回数える。
 一回吸うごとに一回数える。
 一定の数になったら初めから繰り返す。
 一定の数に達したら数えるのを止める。
呼吸の音を聞く、
 一般には吐く息を聞く。本当に聞くのではなくて意識で聞く。
意息
 意識で呼気を足に導く、あるいは足から数メートル、数十メートルののところまで到達させる。あくまで入静のためのもので、実際に気そのものを導くのではない。
15、舌動法
 呼吸のリズムに合わせて吸気時に舌の先を上顎または下顎につけ、吐気時にもとの位置に戻す。人によってかえって緊張する場合がある。そのときは止める。
16、感覚刺激法
 適度な温度による刺激。足に温水袋を当てるなど。
17、手足動作法
 手あるいは足の指を呼吸のリズムに合わせて屈伸したり、開いたり閉じたり軽く動かす。眠りこみ防止にもなる。

第三節 気功外気の発放訓練法

一、気功外気発放原理
 人体の内気と外気とは絶えることなく循環している。だれでも、意識とは無関係に大自然と物質交換をしながら、外気を出し続けていると言える。しかし、この外気は気功師の発する外気とは異なる。気功師の発する外気は意識的に人体の信息、エネルギー、震動量が高くなっている。

二、気功外気発放方法
 だれでも、訓練を通して外気発放による診病能力は身につく。
 一般に、呼吸によって発放する外気の状態を調整する。
 呼吸の、速度、強弱、大小、量、長短によって、外気の流量、流速、状態などが変わる。
 呼気のとき手を弛緩させ、発放、吸気で丹田に戻す。

三、剣指発放外気訓練方法
 姿勢は座、臥、立いずれも可。自然な立ちかたで立つのが最も良い。全身弛緩、片手を剣指の形にしてゆっくりあげて肩の高さに構える。
 下丹田の気を意念で動かし、任脈を上行、だん中穴(左右の乳首を線出結んだ中点)から腕の内側(手の三陰経)を指まで導き外気を発放する。ただし、呼吸に注意、鼻から吸いながら下腹を膨らまし、気を下丹田に集め、呼気で下腹をへこまして丹田の気を指まで導く。また、練功中は収功に注意し、気を意念で丹田に帰さなければならない。意と気を結合、意で気をコントロール、意で気を導く。

四、労宮穴発放外気訓練方法
 労宮穴は主要な発放外気の穴位である。
立位:自然に立ち両足を肩幅に開いて、舌先を上顎につけ、鼻で呼吸。自然な腹式呼吸視線は目標に置く。2〜6回呼吸を整え、丹田に気を静めて、全身自然に弛緩、 膝を軽く曲げて軽く腰を下げる。
 吸気で両手をゆっくり肩の高さに上げ、手のひらを力をぬいて前方に向け、下腹をふくらませ、肛門を閉めて引き上げる。
 呼気で下丹田の気を意念で動かし、任脈を上行、だん中穴(左右の乳首を線出結んだ中点)から腕の内側(手の三陰経)を労宮穴まで導き発功。経絡に沿って気が目標に絶え間なく流れるように意識する。この時下腹部をへこましながら肛門の力をぬいていく。
 息を吸いながら両手をゆっくり胸の前に戻しながら、下腹部をふくらまし肛門を閉めて引上げる。気は労宮穴から腕の内側を通り、丹田に戻す。10〜15回。収功に注意、気が丹田に帰るように意識する。

五、意念発功訓練法
 四と同じ立位で、
 天の陽気を百会から、地の陰気を湧泉穴から、あるいは宇宙空間の気を全身の毛穴 から丹田に集中させるように意識する。
 意念で丹田の気を動かし、天目、印堂、両眼などから体外に発放。
 反復して練習30分。収功、丹田に気を帰すことに注意。
 目標は近いところから始め遠くへ変えていく。一定の練習後は丹田以外の気を使う こともできる。

第四節 気功透視診病訓練と功法  
 功法一、
 姿勢は自由に、舌を上の歯茎の裏に当て、両目を軽く閉じて内視する。内視で、目の光が、天目穴から平行に遠方へ発出、はるか遠方へ無限の遠方まで届かせる。再び、ゆっくりと天目穴へ回収する。反復して30分前後行う。
 更に片手の指先を天目穴へ向け近づけてくる。続いて手を10〜20センチ遠ざける。このようにして遠ざけたり、近づけたりする。100回。
 功法二、
 姿勢は自由に、舌を上の歯茎の裏に当て、両目を軽く閉じる。意守天目穴で、両眼は天目穴を内視、更に両耳は天目穴を内聴する。このように3つを同時に行う。1回30〜60分
 功法三、
 姿勢は自由に、舌を上の歯茎の裏に当て、自然呼吸で、両目を軽く閉じる。意念を集中させ自身の内臓を内視。肺は白、心臓は紅、肝臓は青、脾臓と胃は黄色、腎臓は黒と意識確認して行く。反復して30〜60分。
 以上三種の功法を交替して練習する。
功法四、
 姿勢は自由に、座式が良い。舌を上の歯茎の裏に当て、自然呼吸で、全身放松。両目を軽く閉じる。意念を晴明穴(目を閉じた内側角の上1寸のところ)に集中させる。自然の気が見えるようになる。30分後、両目を堅く閉じて、意念を天目穴に注ぐ(天目が打開すると、人体内気の変化が見えるようになる。)30分で、収功、丹田に気を戻し、両手をこすって熱くなったところで晴明穴と天目穴を摩擦する。
 天目穴が打開すると、人体の骨格内臓などが見えるようになり、放射している気の色が識別できるようになる。更に、体外の気の流れがわかる。全体に白色の霧にとりまかれていて、百会穴からは水面の波紋のように上っていく気の流れ、主要の穴から光の柱のように気が流れているのがわかる。手指から発する気の色や方向、患者の病変部位などが見える。
功法五、
 南に向いて正座、舌を上の歯茎の裏に当て、雑念を排除、丹田に精神力を注ぐ。丹田の気を上昇させ、精神力で、真気を脳部に充満させ心を澄ませて、山河大地をを見る。自然の姿を観察していく。細かく念入りに、隅々までみるようにする。毎日1回、子の時(23〜1時)、寅の時(3〜5時)卯の時(5〜7時)が最適。毎回15〜30分。
功法六、
 姿勢は自由に、南に向いて目を閉じ、舌を上の歯茎の裏に当て、雑念を排除、丹田に精神力を注ぐ。両手は親指とひとさし指で輪をつくり、中指の先を人差し指の背にあて、残りの2指はのばして、親指とひとさし指と中指の先端を接する。再び丹田に精神力を注ぎ、丹田の気を上昇させ、精神力で、真気を脳部に充満させる。心を澄ませて、見たいものを選び凝視するようにして実際に細部にわたって見る。

第五節 気功遥感訓練法
 天眼打開の後、透視と遥感の2種の功能が生まれる。
 遥感とは簡単に言えば、離れている患者の病気がわかること。

第六節 内視功法
一、内視と気功診病
 内視   意念で自身の体内を見る
 返観内視  内気の動きがわかるようになる。
 返観内照  内臓の色や形、状態がわかるようになる。

 目を閉じ、感覚、視覚によって体内を見て、意念で内気の運行を調節する。このとき目は重要な役割を受け持つ。さらには目から光が発して臓器などを照らし出す。

内視功法
 内視入門功法
目を閉じて呼吸を整え、脳に精神集中、
月の光など光源を一目見て、光をイメージ化して頭のてっぺんから入れる。
脳内に光があふれ水晶のように透明になるとイメージする。
喉に光を下ろしてしばらくとどめておく。
さらに、胸に導き、そこにしばらくとどめて、このとき下丹田が広がって奥深くなっていくように感じる。下丹田に光を導くと下丹田はさらに大きく広く深くなって気が丹田の中で動くように感じる。
会陰に光が降り、光が督脈を下から照らしながら、びろうから頭の頂上まで上がっていくように導く。
 空に月があり、頭を照らしているように、光は後頭部の玉枕から背骨、びろうへおりて会陰のあたりに海の底があり月の影が映るように想像する。
功法三
 座式で舌先を上顎につけて、全身ゆるめて自然呼吸。遠方の物をしばらく見たら、視野をせばめてきて、近くにある物を見る。更に、近付けて視線を鼻に収斂させ、目を軽く閉じる。意念と視線をへそに集める。意念を強くせず、見ているようで見ていない感覚になる。
 収功はまず心を収め、意念で全身を覆うようにしてから、目をゆっくり開ける。

第九節 気功診病基本訓練法

一、動と静の訓練法
 両目を軽く閉じ、舌の先を上あごにつけ、両足を肩幅に開いて立つ。両足の先は少し外へ向ける。「全身の体重を両足に平均にのせ、体重をかかとに落とす」全身の力を抜いて、会陰部をゆるめる。百会、会陰、湧泉が一直線になるようにする。
 肩をゆるめ両腕を自然にたらし、手の指と足先を起点としてくねらせるように動かし、次第に全身の各部分に伝える。最後に脊髄を波のようにゆらす。
 前後にゆれ、左右にゆれ、回転し、ねじるように動く。
 このとき全身の動きを内視、集中して感じとる。
 動と静の協調に注意。
 動きが極まれば、静が生じ、静が極まれば動を生じる。

二、内と外の訓練法
 脊髄が動くと、全身がすべて動く。
 外が動くと内も動く、内が動くと外もかすかに動く。

三、陰と陽の訓練法
 両手の指を交差して、指のつけねを揉みほぐす。このとき、指と内臓との関係を内視する。陰の訓練。
 両手の指先を合わせて、ゆっくりと接触させ、軽く相互に摩擦する。このとき体表の感覚と指との関連を内視する。 陽の訓練。

四、指、掌法の訓練法
 両手の掌心を相対させ、腕を胸の前あるいは腹の前に、肩幅くらいにはなして構える。
 力をいれず、ゆっくりと両手をちかずける。このとき腕と胸の気感を内視で感じとる。気感が強いと両手がひきつけられる。あるいは両手の中に感じている物体が膨脹する。ときには、胸の前や両手の間に、気体のかたまりや、光のかたまり、色彩などを感じる。
 さらに両手の手のひらを向かい合わせたままで、力をいれず、ゆっくりと開く。同時に指の先に気感を感じるようにする。気感が強いとしびれる。指先と開いた空間に糸状に見える気体、線状の光、色などが見える。
 これは、気は体内にあり、充実すると外部にでてくるということである。
 導引動作と内視を結合させ、内外の気の動きを訓練する。手と視覚を敏感にする。
五、手と足の訓練法
 立位または座位。両手の掌心を両足の足心に向けて、胸か腹の前で両手を並べて構える。力はいれずに両手を軽く上に上げてから、下に押さえるように上下させる。動作を内視しながら足心を意識し、掌心と足心との気感を感じとる。         気感が強いと掌心と足心にしびれ、熱、膨脹感、ときにはピクピク動くように感じる。 

六、胸勢と背勢の訓練法
 両腕を曲げて胸の前あるいは腹の前で、球をだくように構える。
 てのひらを向かい合わせて肩幅程度に開いて肩の力をぬく、左手を注視して左手に気感が出たら左手から腕、肩を通り胸を通して右手に導く。
 さらに右手から空間を移動、左手に円形に循環させる。36回。
 続いて同様に右手から行う。36回づつ。 以上が胸勢式の訓練法である。
 背勢式は肩から、背中を通して気を導く。
 練習中は内視に心がけ、気の流れが円を描くように意識する。

七、採気の訓練法
 樹木、花、草などに向かって立ち、両手でだくようにして、六の要領で、対象物の中を気が貫通するように意識する。
 生じる気感に注意する。
 例、柳、槐   寒性  涼気  苦み
   柏、桂   大熱  発熱  甘み
   楡     平       微辛み
   なつめ   平       甘み
   菊花    微寒      酸苦
 膝を曲げて腰を落とし、立式に戻る動作をしながら、対象物に発気、収気を繰り返す。同時に対象の深部を内観、観想する。
対象によっては、合わないことがある、よく選んでから行う。
  


 中 国 気 功 
 

ホームページ