郭林新気功療法

新気功療法は、癌を治す気功として今後もその価値は衰えないと思われます。ここに紹介するものは簡略化、整理されたもので、郭林が教えていたのは、もっと複雑だそうです。いくつかの流れにわかれながら引き継がれています。
気功の大きなうねりの一つとして、この場を借りて、紹介させていただきます。みなさん参考になさって下さい。


長い克己訓練の上に形成されたものです。どんな功法も、産みの苦しみ、歴史があると思います。批判するのは簡単ですが、それで助かる人が一人でもいれば価値があるのです。人の顔が一人一人異なるように万人向けの功法はありません。一人一功法です。というのが私の考え方です。

 新気功療法の紹介 

中度風呼吸法自然行功
  「新気功療法図解」からの翻訳。
    金盾出版社「郭林新気功」参照。



郭林は女性です。幼少の頃、祖父から伝統気功を教えられ親しんだ。
成人してからも、画家として、風景画を描きながら、気功師を訪ね歩き、華陀五禽戯などを学び、導引行気の法を研究していた。
1949年に子宮がんにかかってしまった。生活困難も重なり、苦労をします。手術を繰り返すが、根治せず、1959年には膀胱に転移していることがわかった。6回も手術をしながら郭林は、伝統気功だけではがんは根治できないと気がつくと、ベッドの上でも熱心に文献を読み、研究をすすめ、20年を費やして新呼吸療法を完成させた。危険だとされだれもやっていなかった風呼吸法を取りいれ、酸素が癌細胞を弱めるという原理を応用したた功法である。
郭林はその功法を身をもって実践、自らのがんに打ち勝つと、北京の公園で公開伝授を始めて、多くの人々に希望を与えた。文化大革命の時期にも弾圧に屈せず、身を挺して指導にあたった。一時はアメリカへ渡ったが、帰国、祖国のために余生を捧げた。
新呼吸療法は、慢性病に効果があることが証明され、特に西洋医学と結合させたがんの治療に驚異的な効果をあげることができた。

 初級功 第一章 中度風呼吸法自然行功  第二章 中度風呼吸法定歩功
       第三章 自然呼吸法慢歩行法    第四章 松揉章棍棒功
        第五章 湧泉穴気功按摩法      第六章 頭部穴位気功按摩法
 中級功 第一章 松腰功  第二章 三環功
         第三章 八段錦
                 という構成になっている。黄松笑 編

 第一章 中度風呼吸法自然行功
 1970年に伝授開始以来、がんを始め慢性病に効果が認められている。
 そのポイントは
 1、大量の新鮮な空気を供給する。
 2、津液(主に唾液)の薬理作用。
 3、内気の運行を調節、促進して全身の気血の流れを改善する。
 

注意
 三心の樹立 
 信心、決心、恒心  一日最低3時間、1日休めば百日遅れるの覚悟で
   前向きに、微笑みを忘れないことが免疫力を高める。
    毎日時間を決めて行う。
    衣食住にも注意する。
    体を締め付けるようなものは取る。
    酒、煙草、辛いものはとらない。
    食事前30分、食事後2時間は練功を避ける。
    室内で練功する場合は窓を開けて新鮮な空気の中で行う。
    室外で練功する場合は松、柏、柳などの樹木のある、平坦な場所で、水の流れがあり空気新鮮なところが望ましい。
    練功中は入静に努め、感情の影響をうけないようにする。
 円、軟、遠の3字にてらして動作を正す。
  円……腕、足、全身すべて、円を描くような形にして円形に動いているか。
  軟……全身、関節が柔軟に弛緩しているか。頭の中も柔軟にする。
  遠……予備功のときは両眼は軽く閉じ、開いたときも視線が地面と平行に遠方を    見ているか。内視でも同じ。心も開いて遠大にする。

 新気功療法の特徴
1、歩行を主にした動功と静功をかねたものである。
2、丹田あるいは、部位など意守はしない。
3、五種の導引を結合
  姿勢導引、呼吸導引、意念導引、吐音導引、総合按摩導引
4、体質、病状、によって方法を変えているため、その人に合った練功ができる。
5、意、気、形の三者の関係は意念で気を整え、気で体の形を整える。体の形には意  念を使わない。
6、初級、中級、高級と順次進んで行く。
7、風呼吸を採用したことで、炎症、特にがんに対して満足な効果が現れた。

第一章 中度風呼吸法自然行功

第一節 予備功
  全身を放鬆、入静、自然、心を安らかにして気を和ませる効果がある。
1、導引 意念導引と呼吸導引を使う。
2、呼吸法 自然呼吸法と気呼吸法
 自然呼吸法 唇は閉じ、下の先を上顎につけ、自然に鼻で呼吸する。
 気呼吸法  口から吐いて、鼻から吸う。軽く、ゆっくり、細く、一定のリズムで、余裕を持って行う。呼吸量は目一杯ではなく、吐き切らず、残す。吸気は深くしない。
     先に吐いて後から吸うのは補になり、慢性病に適す。
     先に吸って後から吐くのは瀉で、がん、各種の炎症に適する。
3、立ちかたは 松静站立法
4、手の位置 男は左手を中丹田にあて、その上に右手をのせる。女は左右逆。
       ただし、腹部にがんのある場合は両手を背中に腎兪穴に当てる。
5、目は軽く閉じ、遠方を平行に見る。
6、練功時にでてきた唾は内分泌系統を調節する働きがあるので、ためておいて、松  静站立の姿勢に戻って、3口に分けて飲み、意念で丹田に送るようにする。
  歩行動作中に飲み込んだり、収功後飲んではいけない。
7、予備功と収功の方向は以下のようにする。
  心臓病は南向き、肝臓病は東向き、脾臓病は中心に向き、肺病は西向き、腎臓病  は北向きで行う。

 注意 練功時の指標
 高指標 血圧、眼圧、コルステロール値、血糖値、などが高という意味。
 低指標 低血圧、低血糖、など
 正常指標 上記の値が正常。

一、松静站立
  方向を決めて、立つ。  1分間程度。
1、両足は肩幅に開き、膝の先が足先より出ないようにして、膝を曲げる。
  重心は両足の線の中心
2、自然に腹を凹ます。
3、胸をはらず。肩をわずかに前に出す。
4、肩を落とし、脇の下をゆるめ、腕の力を抜いて、腕全体で円を描くようにする。  両手は太ももの脇に手のひらを内側にして、自然に垂らす。
5、下あごをわずかにひき、舌の先は上あごにつける。
6、両目を軽く閉じて、遠くを地面と平行な視線で見る。
7、百会穴を天に向け、あくまで頭をまっすぐにする。
8、腰とふとももをゆるめる。
9、心を安らかに、精神を沈静する。
  
二、中丹田3個呼吸
1、男性は左手を中丹田におき、その上に右手を重ねる。
  女性は右手を中丹田におき、その上に左手を重ねる。
  へその下、一寸半で、奥に一寸半入ったところが中丹田である。       2、両手は中丹田に置いたまま、舌をゆるめて下にして、唇を細く開いて口から息を  吐く。同時に腰と膝をゆるめて下げる。
  高指標者はゆっくり深くし、低指標者は速く浅くする。度合いの強い低指標者は腰と膝の力をぬく程度にして腰を下げない。
  ある程度吐いたところで、両手を中丹田から離して、舌先を上あごにつけて、口を閉じて鼻から息を吸う。
  この時は腰はそのままであげないこと。
3、ある程度吸ったところで、舌先を軽く上につけたまま、唇を閉じてまま、鼻から息を吐き、腰をあげて元の姿勢に戻る。
  高指標者は速い速度で上がり、低指標者はゆっくりと上がる。
  一呼一吸一平にたいして一降一定一昇という動作になる。

三、中丹田三開合
1、正常指標の場合
 中丹田の前、15センチ離したところで、両手の甲を向かい合わせて、両手を広げて、指先を前方に向け、手のひらを外向きにして構える。、
 手の指をかすかに曲げてゆっくりと左右に肩の幅まで開く。
 今度は手のひらをかえして、両手のひらを向かい合わせて、ゆっくり中丹田の前に戻す。
2、高指標者は両手の指を下に向けて行う。炎症、がんのある場合もこの方法。
  速度はゆっくり開いて、速く戻す。
3、低指標者は手のひらを上に向けたままで行う。
  速度は速く開いてゆっくり戻す。

第二節 中度風呼吸法自然行功
   風呼吸法を使った自然歩行功で、酸素を大量に吸い込み、免疫力を増強し、風邪の予防、消炎、抗がん、がん治療効果がある。
   体の部位を意識したりはしない。
1、導引  呼吸導引 吸う、吸う、吐く
2、呼吸法 風呼吸法 舌先を上あごにつけて、鼻で呼吸する。
  吸う、吸う、で一拍。吐くで一拍。呼吸の音を自分で聞く。
  ただし、心臓病と高血圧がある場合は自然呼吸で行う。
3、肝臓、たんのう、眼病がある場合は右足から先に出る、その他の病気のある場合  は左足から先に出る。
  病気がない場合は男は左足から、女は右足から出る。
4、手は中丹田の前で、こぶし一つあけて構える。後ろの手はふとももから15センチ離したところ。腕は円をえがくように丸くし、手は指を軽く曲げ五指で掴むようにして。腕を動かす時も円に注意して腰も回す。
(1)左のかかとが前に出るときは右手は中丹田の前、左手は腰の斜め後ろに構える。(2)左足を前に下ろしたとき、重心を左足に移して、左手を中丹田に向け移動、右手を斜め後ろに移動し始める。
(3)右足をあげるときは、左手は中丹田に右手は後方にある。
5、吸う、吸うのときは、体は正面を向いて、吐くとき、頭を腰と一緒に45度回転させる。
  このとき首の後ろの筋肉をゆるめる。
6、速度は自分のちょうどよい速度でいいが、心臓病、肝臓病、虚弱者はややゆっくり。がんの場合はやや速い速度で行う。
7、頭部を回転中も視線は地面と平行にする。目は開いていても見ることなく、耳も聞くことない状態である。
8、つばがたまってきたら、休んで3口に分けて、ゆっくり飲み込み中丹田に送る。 2本のレールの上を平行に歩くように移動する。爪先を上げて、かかとから下ろす。
[注意]
1、心臓病、高血圧が好転していない場合、女性に妊娠中と生理中には自然呼吸で行う。
2、酸素を吸い込むため、空気のきれいな場所で行う。
3、風呼吸は鼻から吸って鼻から吐く、速すぎたり、激しすぎるのはいけない。
4、呼吸と足運びだけで、両手の動きをつけない方法もある。
  また、3から5歩で1回頭を回す方法もある。
実際の方法
1、予備功に続いて、ゆっくり目を開き、重心を右足に乗せ、左足をゆるめて、右手 中丹田の前に、左手は左後方に置く。左足の親指の内側の隠白穴で、右足のにぎり  こぶしひとつはなれた内側の床を押さえる。両手はそのまま。
2、左足を足先から前方へあげて、鼻で一回吸う。重心を右足に、体は正面を向いている。両膝を軽く曲げ、まだ手は動かさない。
3、左足を前方へ着地して鼻でもう一回吸う。重心を左足に移し、体は正面を向いたまま。
4、右足を足先からあげながら、息を鼻から吐く。体は正面を向いたままだが、3回から5回に一回は腰と一緒に右に45度回転させる。
  同時に左手を中丹田に、右手を右後方に移動。
  息を吐き終るとき、着地した右足に体重を移動。両手を戻す。
  このように繰り返して15分から20分行い。中丹田三開合をはさんで、左右の足を逆にして同じ時間行う。
第三節 簡式収功
 必ず行います。
 目を軽く閉じて、予備功と反対の順序で予備気功と同じ動作を行う。
1、中丹田三開合
2、中丹田3個気呼吸
3、松静站立