蓮花座功

 1、功法
 あぐらに座るのが本来だが、椅子でも良い。正座でも良い。自分の体に負担がかかり、緊張を招いては気功にならないので、楽な座り方を選ぶ。椅子に座ってやる場合は、上半身を真っ直ぐに、背もたれに寄り掛からないこと。胸をはらず肩を自然に落として、胸と背中の力を抜く。足は平行に床に付け、膝は90度、脚は垂直に立てる。両膝と両足は共に肩幅に開く。
 あぐら、または正座の場合は座ぶとんを当てて、楽に座る。

 体は真っ正面に向き、顎を少しひく。頭のてっぺんを天に向け、目を軽く閉じる。舌の先を上あごの裏に軽くつけ、微笑み、顔全体の筋肉を緩める。腹をひっこめるようにして、腰を伸ばす。手のひらを上に両手を重ね、下腹のふともものつけねに置く。男は左手が下、右手が上。女は右手が下、左手が上になる。
 楽に自然であることが大切。
 まず、全身のリラックス。頭、首、肩、腕、手、胸、腹、腰、脚、足、と意識して順に力を抜いて、緊張をとっていく。

 呼吸法
 第一段階、意守呼吸
吸う息と吐く息に注意を向け、長く、細く、ゆっくり、リズムカルに、深くするが、自然で、滑らかにする。胸と腹の起伏はかすかに、呼吸の音はさせない。
 呼吸だけに意識をする。雑念を捨る。他の事が浮かんできても、すぐ呼吸に専念することである。雑念がでても、それによって緊張したりはしない。2、3分して意識を呼吸に専念できたところで第二段階に進む。

 第二段階、意守呼気
 吸う息には意識をかけず、吐く息だけに意識を専念する。息を吐くときだけ意識をし、全身の筋肉を弛緩させ、吐く息を長く、細く、ゆっくり、なめらかに、深くする。2、3分して吐く息に専念、吸う息のことは思わなくなったところで、に進む。
 第三段階 入静状態
 吸う息、吐く息に意識をかけず、半分眠ったような状態になる。
 呼吸は自然に任せ、呼吸は感じてはいるが、意識を専念しない。雑念も排除する。最低10分。時間があれば20分以上続ける。
 収功
 息をすいながら両手を胸に上げ、両手をかえして、息を吐きながら下腹部まで下げる。2、3回繰り返して、下腹部に両手を重ねてあて回転させなぜる。両手を胸の前でこすり熱くなったところで、顔をよくこする。

 この功は睡眠状態の内の、真睡状態をまねており、脳に十分な休息を与える。睡眠中の脳の状態は脳全体が眠っているわけではなく、部分部分で交替に興奮と抑制を繰り返している。興奮状態は夢になって意識される。一般には起きる直前の夢以外は忘れさられるのであるが、一晩中、夢を見続けているという人もある。そういう人は疲れがとれず、休まらない。医学的見地から言うとそれは大脳皮層の脳神経細胞が興奮状態にあって、抑制状態が少ないと言うことになる。一般には睡眠中に完全な抑制状態が繰り返しおとずれる。これを真睡状態と呼ぶ。真睡状態が難度もおとずれ、時間も長いとよく眠れたという感覚になるのである。
 真睡状態でも、生命を維持するために、心臓、肺の呼吸は停止することがない。この功は、こういう働きを応用している。
 呼吸と血液循環の中枢は延髄にある低級中枢である。この功の第三段階では入静状態に入るが、生理的角度から言えば、大脳皮質が完全に抑制状態になって、呼吸中枢が興奮状態になっているのである。
 この功は体力を回復し、疲労を消し、精神力を高める。