放鬆功 全身リラックス

 

 

  ほうしょうこう 


 「放鬆」は中国語で力をぬいて筋肉を弛綬させ、ゆるめること、リラックスすることです。
 あわただしい日常生活の中で緊張しがちな現代では、まず体と心をゆるめることが必要です。体が緊張すると、心も緊張します。
 緊張と弛緩のバランスを重視する気功は、まず緊張をやわらげ力を抜くことから始めます。気の流れをスムースにするためには体をリラックスさせることが必要です。

 しかし、実際は完全な弛緩ではなく、適度な緊張を含んだ弛緩。あるいは体の特定な場所が適度に緊張してその他は弛緩しているというふうになります。

 呼吸は初めは自然呼吸で行います。続けていくうちに自然に深く、長く、静かに、なめらかになっていきます。
 放鬆功の方法
 体の一部を意識して、「チーン」、または「静か」と口に出さずに念じながら息を吸い、「ソーン」、または「ゆるめます」と口に出さず心の中で念じながら、息を吐き、同時にその部分をゆるめます。
 静かにその部位を思い浮かベ、その部位を心で見る感じ、息がその部位にすいこまれていくような感じに想橡します。 「チーン」または「しずか」と念じながら息を吸います。
 息を吐くときは力を抜いていきます。固いものが溶けて部位から外に向かって流れ出て行くような感じに想像する。 軽くなって楽になっていくようにイメージします。
 体の部位を移動させて行い一通りやったら、丹田を意守します。意守とはは、その部分を意識し続けることです。
 最後は収功を行って終ります。 そのまま寝てしまってもかまいません。
 放鬆功には分断放鬆功、整体放鬆功、逆放鬆功、三線放鬆功などがあります。

分段放鬆功
 息を吸いながら、体の一部分に意識をもっていき、「ソーン」、または「ゆるめます」と念じながら、息を吐きながらその部分の力をぬく。1カ所で2、3回呼吸を繰り返し、次に移動します。
頭部から足まで、進んだ後、ヘそ(丹田)に意識もっていき2、3分、意守します。
移動の順序はいくつかあります。やりやすい方でやります。
A 頭部→両肩と両手→胸部→腹部→両脚→両足→意守丹田2、3分。
収功の動作をして終わります。
B 頭部→首→両腕と両手→胸、腹、背、腰→両脚の膝から上→膝から下→意守丹田2、3分。
 収功の動作をして終わります。
 
 イメージの助けを借りながらやる方法もあります。

例1、頭の中に水面を思い浮かべます。息を静かにすいこみ、水面に水滴がポタッと一滴落ち、息を吐きながら水面に波紋が広がっていくように想像します。もう一度吸い込んでさらに大きな水滴が落ち、波紋は外に溢れていきます。次第に大きく遠くまで波紋が伝わっていきます。
 同様に胸に水面を思い浮かべます。腹部と呼吸と共に水面が下がっていきます。
例2、海を想像します。波の音などを流しておくのもいいです。息をすうとき体の中に波が入ってきて、体の中のある竪いものを溶かして、息を吐くとき波と一緒に出ていきます。
例3、息をすうとき、気が四方八方から体に集中して、息を吐くとき、四方八方に散っていきます。
 

整体放鬆功
 特に体の部分に分けず、体全体をゆるめる方法。
A、息を体全体に吸い込み、頭部から足に向かって、水が流れて行くように想像しながら、息をゆっくり長く吐く。これを繰り返します。丹田を息守して、収功します。
B、息を体全体に吸い込み、体の内側から体の外へ向かって、息があふれて出ていくように想像しながら息を吐く。これを繰り返します。丹田を意守して、収功します。
C、息を体全体に吸い込み、頭部から足に向かって、三線放鬆功の三線に沿って、一線ずつ水が流れていくように意譲しながら息を吐く。これを繰り返します。丹田を意守して、収功します。
 
逆放鬆功
 虚証と呼ばれる状態で体が哀弱して、いるような場合は足から頭部の方向に向かって行う。

 意守丹田について
 陰陽の観点から見ると、放鬆は陰、意守は陽である。人体の陰陽のバランスがくずれると調子が悪くなります。放鬆と意守でバランスをとることが大切です。一般には放鬆を10呼吸行ったら、息守を10呼吸行うようにします。 陽に偏っている人は放鬆を多く、陰に偏っている人は意守の時間を多くします。
 例えば、血圧が平常より高い、熟っぽい、頭が重いような場合は、叶く息に意識をして放鬆を長く行う。
 意守は集中ですが、気功状態に人ると、意識して意識していない、集中して集中していない状態になってきます。
意守する場所も体の状態によって変えると、関係の神経を調整する効果があります。

足の三里  胃腸、消化系統が不調なとき
大敦    頭痛、肝(足の親指の先)
湧泉  不眠、頭痛、(足の裏の中心)
命門  腰痛(背中側で肝のちょうど裏)
少商  せき(手の親指先)
外部の物を意守  神経衰弱
 

 三線放鬆功
最も基本的な静功の一つ。
1950年代に上海の気功療養所で考案され、実際に応用される中でさらに改良されたものです。体の両側、前面、後面に沿って頭の方から手足に向かって、順々にリラックスさせて行きます。気の巡りを良くし、清らかな気の作用で、病気のもとになってるものを手足の先から体外に排出させる効果があります。最後は丹田に気を集めます。気が上半身に集まり過ぎると体のバランスが悪くなったりするのですが、その気を下半身に下ろし、気持ちを安定させる効果があります。練習を積む内に、経絡に気を流すことができるようになります。
 第1線は頭部の両側から両手の指先までの線です。第2線は顔から、腹部を通り両足の先までです。第3線は後頭部から背中を通り両足の裏までです。それぞれの体の線上を9部位に分け、頭部から手足に向かって順に意識を集めながら、呼吸に合わせて移動していきます。息をすいながらチーンと声に出さずにを念じ、吐きながらソーンと念じ、リラックスさせていきます。声を出さず心の中で思うわけです。

   第1線 頭部から手へ    第2線 腹部、足へ   第3線 背中、足へ
 第1線は頭の両側、首の両側、両肩、両上腕、両肘、両二の腕、両手首、手の甲、両手の指の9部位です。第2線は面部、首、胸部、腹部、太もも、膝、膝と足首の間、足の甲、足の指の9部位です。第3線は後頭部、首、背中、腰、太もも、膝の裏、ふくらはぎ、かかと、足の裏です。

 注意事項
1、呼吸は自然呼吸で良い。慣れてきたら腹式呼吸に移行。 1分間に10回程度。
2、考えているようで考えていない心の状態。
3、椅子に座って姿勢を正しくし行う。体をほぐすような気持ちで。
4、静かな環境の中で行う。
5、雑念が現れてもとりあわないようにする。
放松と入静が目的である。入静には深い意味があるが簡単に言うと以下のようになる。
放松の意味は緊張を解きリラックスすること。松song ソーン
入静の意味は安静の状態である。静jing チーン

 練功要領
堅めの椅子に浅く腰掛けます。膝と足は肩幅に開きます。膝の先と足の先が垂直線上になるようにして、背筋を伸ばし、正面を向いてあごをひいて、視線は水平線より30センチ下を見ます。

 両手をぶらぶらとふって、手の平を下にして、膝の上に自然に置いて目を軽く閉じます。舌を上の歯の裏側につけ、唇の力を抜きます。
 全身の力を抜きながら、なぜ気功をやるのか思ってください。肩に力が入っていませんか。少し肩を後ろに引いて見てください。
 呼吸を深くゆっくり、呼吸だけに意識を集中します。そのまま3分間。ゆったりできる音楽を聞きながらでもいいです。気を静めます。
 チーンと言うのは安静の意味です。ソーンと言うのはリラックスの意味です。                           
 それでは三線放松功に入ります。
1、頭の両側:息を深く吸い、チーンと声に出さずに念じながら頭の両側、耳の上辺りを  意識します。息を吐きソーンと声に出さずに念じながら弛緩します。
2、首の両側:チーンとゆっくり息を吸いながら首の両側へ意識を持って来ます。ソーン  と意気を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
3、両肩:チーンとゆっくり息を吸いながら両肩へ意識を持って来ます。ソーンと息を吐  きながら外に向かってリラックスさせます。
4、肩と肘の間:チーンとゆっくり息を吸いながら肩と肘の間へ意識を持って来ます。ソ  ーンと息を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
5、肘:チーンとゆっくり息を吸いながら肘へ意識を持って来ます。ソーンと息を吐きな  がら外に向かってリラックスさせます。
6、肘と手首の間:チーンとゆっくり息を吸いながら肘と手首の間へ意識を持って来ます。  ソーンと息を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
7、手首:チーンとゆっくり息を吸いながら手首へ意識を持って来ます。ソーンと息を吐  きながら外に向かってリラックスさせます。
8、手の甲:チーンとゆっくり息を吸いながら手の甲へ意識を持って来ます。ソーンと息  を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
9、手の指:チーンとゆっくり息を吸いながら手の指へ意識を持って来ます。ソーンと息  を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
10、最後に中指の先端に意識を持って行って、そのまま9回呼吸します。

 二条線に進みます。
1、顔:チーンとゆっくり息を吸いながら顔へ意識を持って来ます。ソーンと息を吐きな  がら外に向かってリラックスさせます。
2、首:チーンとゆっくり息を吸いながら首へ意識を持って来ます。ソーンと息を吐きな  がら外に向かってリラックスさせます。
3、胸:チーンとゆっくり息を吸いながら胸へ意識を持って来ます。ソーンと息を吐きな  がら外に向かってリラックスさせます。
4、腹部:チーンとゆっくり息を吸いながら腹部へ意識を持って来ます。ソーンと息を吐  きながら外に向かってリラックスさせます。
5、ふともも:チーンとゆっくり息を吸いながら左右のふとももへ意識を持って来ます。  ソーンと息を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
6、膝:チーンとゆっくり息を吸いながら左右の膝へ意識を持って来ます。ソーンと息を  吐きながら外に向かってリラックスさせます。
7、足首:チーンとゆっくり息を吸いながら膝と足首の間へ意識を持って来ます。ソーン  と息を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
8、足の甲:チーンとゆっくり息を吸いながら両足の甲へ意識を持って来ます。ソーンと  息を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
9、足の指:チーンとゆっくり息を吸いながら足の指へ意識を持って来ます。ソーンと息  を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
10、最後に足の親指の内側へ意識を持ってきます。そのまま9回呼吸します。

 三条線に進みます。
1、頭の後:チーンとゆっくり息を吸いながら頭の後ろへ意識を持って来ます。ソーンと  息を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
2、首の後:チーンとゆっくり息を吸いながら首の後ろへ意識を持って来ます。ソーンと  息を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
3、背中:チーンとゆっくり息を吸いながら背中へ意識を持って来ます。ソーンと息を吐  きながら外に向かってリラックスさせます。
4、腰:チーンとゆっくり息を吸いながら腰へ意識を持って来ます。ソーンと息を吐きな  がら外に向かってリラックスさせます。
5、ふとももの裏:チーンとゆっくり息を吸いながらふとももの裏へ意識を持って来ます。  ソーンと息を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
6、膝の裏:チーンとゆっくり息を吸いながら膝の裏へ意識を持って来ます。ソーンと息  を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
7、ふくらはぎ:チーンとゆっくり息を吸いながらふくらはぎへ意識を持って来ます。ソ  ーンと息を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
8、かかと:チーンとゆっくり息を吸いながらかかとへ意識を持って来ます。ソーンと息  を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
9、足の裏:チーンとゆっくり息を吸いながら足の裏へ意識を持って来ます。ソーンと息  を吐きながら外に向かってリラックスさせます。
10,最後に足の裏の中心に意識を持って来ます。そのまま9回呼吸します。
  更に、 臍の下の丹田に意識を集めて9回呼吸します。
 収功
 息を吸いながら両手のひらを上に向け胸の前に上げ、手のひらを返し、息を吐きながらゆっくり丹田まで下げる。これを3回繰り返します。
両手をこすりあわせて、熱くなったところで顔をこする。
 両手で足をふとももから足先へ向かってはさむようにして叩きます。

 仰向けで寝てやることもできます。そのときの姿勢は下の図のようにします。

 叩歯 門歯をカチカチと噛み合わせる。24回
    奥歯をカチカチと噛み合わせる。24回

 攪海 舌で歯のまわりを舌をまわすようにして撫でる。
    逆時計まわり12回
    時計まわり12回

 鳴天鼓 耳の後ろに両手をあて中指の上に人差し指をのせておいて、はじくように耳の後ろを叩く。24回。